公開: 2023年3月11日
更新: 2023年4月7日
ネアンデルタール人の人口は、4万年ぐらい前から少しずつ減っていたようです。それに対して、ホモ・サピエンスの人口は、どんどん増加しました。この増加率の違いが、ネアンデルタール人を絶滅に追い込んだようです。研究者たちは、この人口増加率の違いについて研究をしています。
現段階では、多くの研究者は、ホモ・サピエンスでは集団規模が大きかったことに注目しています。血縁関係を中心に集団を作っていたネアンデルタール人は、集団の規模が十数名程度と小さい点が特徴でした。これに対して、ホモ・サピエンスの場合、血縁以外の人々も一緒に住んでいたので、規模は、100名を超えることも少なくありませんでした。
この集団規模の大きさは、結婚相手を見つけやすくします。また、集団内で誰かが見出した道具の新しい工夫を、他の人々が真似し易くします。実際に、石器を比べると、ネアンデルタール人の石器は、種類が少なく、ホモ・サピエンスの場合には、非常に種類が多いことが分かっています。これは、ある人の工夫が、別の人に伝わり、その人がさらに新しい工夫をし易くするからだと、考えられています。
シベリアの遺跡には、200人を超える集団が一緒に暮らしていた、ホモ・サピエンスの村の例も見つかっています。今の言葉で言えば、人口の多さは、集団内での技術革新を起こし易くさせることに、影響するのです。